2020年11月29日 サンデーモーニング(中編)

2020年11月29日 サンデーモーニング(中編)

11月29日のサンデーモーニングのレポート中編、桜を見る会前夜祭での費用補填の疑惑について報道された部分です。

今回検証するのは以下の点です。

・政治的に公平な報道であったか

まずは放送内容を確認していきます。
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【VTR】(要約)
 桜を見る会の問題。前夜祭で、安倍氏側が去年までの5年間にわたり、会費の差額分800万円以上を補填していたことが分かった。さらに、2月にホテルの領収書や明細書の提出を求められた際、安倍首相は「事務所からホテルに連絡し確認をとりましたが、明細書等の発行は受けていないとのことです」と発言していた。しかしホテル側は補填分について安倍氏の資金管理団体宛てに領収書を出しており、この領収書を安倍氏側が廃棄していた可能性が出てきている。
 25日水曜日、安倍前総理が嘘の答弁をしていた疑いについて野党が問いただすも、菅総理は捜査中であることなどを理由に答弁を拒否した。

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【パネル解説】(要約)
 東京地検特捜部は政治資金規正法違反を軸に調べているとみられるが、野党側は安倍前総理の国会招致を求めている。桜を見る会の前夜祭を巡って安倍前総理は国会で、「講演会としての収入・支出は一切ない」と22回述べているが、安倍氏の周辺は補填を認めた。また、「ホテル側から明細書等の発行はなかった」と17回答弁しているが、ホテル側は安倍氏の資金管理団体宛に領収書を発行しており、安倍氏側が廃棄した可能性が出てきた。収支報告書に未記載であれば政府資金規正法違反に、安倍氏側が補填していれば公職選挙法に違反している恐れがある。元東京地検特

【コメンテーターによる解説】(一部要約)
姜尚中 氏:伊東萬尺という人が「だまされるやつが一番だめなんだ」と言っていますが、安倍首相は第一秘書にだまされた、菅首相も安倍も安倍首相に確認をとったけれども、安倍さんがだまされてたんだから、間接的に自分も犠牲者でだまされていたと。結局、だましの専門家は第一秘書になってくるわけですね。上と下がともにだまされているというこれをどうしたらいいのか、それが一番問われていると思います。(要約)

中央大学 目加田説子 教授:だまされていたとしても安倍首相の責任は免れないと思います。2月に国会で激しく追及された時点で、秘書に確認せず自ら帳簿を調べることもなく虚偽答弁を行っていたということになりかねない、本当に重い責任だと思います。菅首相も自民党の総裁なわけですから、きちっと党としてどう対処するのか方針を示すべきだと思います。(要約)

朝日新聞記者 高橋純子 氏:報道が事実であれば総理の立場である人が何度も国会で嘘をついたことになり、政治責任は免れないと思います。じゃ、この責任はどうやって取るのか、首相の在任中であれば首相辞任ということですがもう今現在、その任にないわけですからもう議員辞職という形でしか責任はとれないのではないかと私は思います。(要約)

評論家 荻上チキ氏:菅さんがもし総理を続けたいのであれば、こうした問題を改善しますと言って、公文書の問題などの説明責任を果たすしかないですね。具体的には閣僚にあるような立場の人が疑惑を追及された場合は関連書類をすべて出す法律を義務づけるとか、政治資金の収支報告書などはあとで訂正すればセーフという法律は改めるとか、改善を具体的にやってほしいなと思います。(要約)

BS-TBS「報道1930」キャスター編集長 松原耕二 氏:実は立命館大学の櫻井准教授という人がいろいろ調べたらお答えを差し控えるという答弁のフレーズが、第2次安倍政権以降急増している、300回ぐらい、多いときは600回近くあるんですね。実は着実に量産されていて、振り返ると最近の人事に関する言葉とか、仮定の話には答えられませんとか、個別の案件には答えられませんとか、あるいはこういう捜査問題であると捜査中だから裁判になると今公判中だから、捜査が終わったんだからと答えない理由だけがどんどん説明されていって、安倍さんももちろん説明すべきだし、捜査もきちんとやらないと偉い人だけ何をやっても許されるということがこれじゃ広がってしまうと思うんですね。警察もどこまで本気か分かりませんが、せめて、これまでも政治家にいろいろ甘かったんで、せめて起訴して裁判で事実関係だけを明らかにするここだけは僕もっとちゃんと検察はやってほしいと思いますね。

【検証部分】
今回は、桜を見る会に関する報道を取り上げました。この報道で問題となるのは、松原氏の発言が政治的に公平でなく、偏った視点からの指摘となっている点です。

松原氏の発言の中で該当する箇所は、「実は立命館大学の櫻井准教授という人がいろいろ調べたらお答えを差し控えるという答弁のフレーズが、第2次安倍政権以降急増している、300回ぐらい、多いときは600回近くあるんですね。実は着実に量産されていて、振り返ると最近の人事に関する言葉とか、仮定の話には答えられませんとか、個別の案件には答えられませんとか、あるいはこういう捜査問題であると捜査中だから裁判になると今公判中だから、捜査が終わったんだからと答えない理由だけがどんどん説明されていって、」という部分です。
つまり松原氏は、第2次安倍政権以降、答えない理由ばかりを並べて「お答えを差し控える」という答弁を繰り返しているとして、安倍元首相の姿勢を批判しています。

しかし、安倍氏の挙げている答えない理由というのは、不当な言い訳なのでしょうか。例えば人事に関することは、方針については話すことはできても、個人の任免についてはすべてを明らかにすることはできません。仮定の話に関しても、事実かどうか明らかでないものを事実であるとして議論することには問題があり、そのような質問に答えられないことは当然といえます。そして捜査中である、公判中であるというのも、事実を明らかにするための公平、公正な捜査、裁判がおこなわれているにもかかわらず、他の場で発言をすることは適切ではありません。捜査が終わった後については、明らかにできる事実は明らかになっているので、さらに説明するべきことがない場合があると考えられます。
以上のことを考慮すると、安倍政権で用いられた答えない理由というのは、全てまっとうな理由であるといえます。

このように考えると、お答えを差し控えるというフレーズが量産される背景として、質問をする側の責任を検討する必要があります。例えば人事のなかの明らかにすることができない事柄について、もしくは公判中で事実が明らかになっている途中のことについては、「答えられない」としか返事をできないことは明らかです。そのようなことをわざわざ質問する必要はありません。
特に、第2次安倍政権や菅政権では、国会や記者会見の場で、同じような質問が繰り返されている場面が見られます。既に答えられないと分かっている事柄について、繰り返し聞く意味はあるのでしょうか。このような無意味な質問の繰り返しによって、お答えを差し控えるという答弁が増えてしまっているのです。

松原氏はここで取り上げたような点には触れずに、一方的に政権側が言い逃れをしているような論調で批判をしています。この松原氏の指摘は政治的な公平性を欠いた、一方的な政権批判であるといわざるを得ません。

このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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